【第54回】なぜその公差指示で価格が2倍になるのか?「加工屋を悩ませる図面」の共通点
2026/10/15
こんにちは、SOUKEIの竹澤です。
今回からは新シリーズとして、「図面と現場の乖離:加工屋に『喜ばれる図面』と『泣かれる図面』」を
テーマにお届けします。
社内の設計担当者様から回ってきた図面をそのまま加工屋さんに渡した際、
「これ、見積もり高くなっちゃいますよ」「削るのかなり厳しいです」と言われた経験はありませんか?
設計者は「万が一の不具合を防ぐため」に精度を高めに設定しがちですが、加工現場から見ると
「機能上そこまでの精度は要らないのに、加工コストと不良リスクだけが跳ね上がっている」
というケースが山ほどあります。
今回は、加工屋さんを悩ませ、見積もり価格を無駄に跳ね上げさせている図面の「代表的な3つのパターン」を
解体します。
⚠️ パターン1:全箇所に施された「一律の厳格な公差(±0.01など)」
一番多いのが、設計CADのテンプレート設定や過去の図面の踏襲により、特に精度を必要としない外形寸法にまで「一律で厳しい公差」が入っているケースです。
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公差 ±0.1〜0.2mm: 通常の切削加工でサクサク削れるため、安く早い。
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公差 ±0.01mm以下: 機械の熱変形、刃物の摩耗、測定環境(室温)まで気を使わなければならず、加工時間が伸びる上に「慎重な手作業・全数検査」が必要になる。
ただのカバーや外郭のサイズにまで厳格な公差が入っていると、加工屋さんは「不合格・作り直し(没)」のリスクを想定して見積もり単価を2倍〜3倍に跳ね上げざるを得なくなります。
⚠️ パターン2:ピン角(Rゼロ)指定と「深くて狭いポケット加工」
金属を回転する刃物(エンドミル)で削る以上、内角には必ず「刃物の半径(R)」が残ります。
図面上で内角が「R指定なし(ピン角)」になっていると、加工屋さんはそのままでは削れません。わざわざ電極を作って放電加工を追加するか、極小の刃物でちまちま時間をかけて削るしかなくなります。
また、「幅が狭いのに奥行きが深い溝(ポケット)」も同様です。細くて長い刃物は折れやすく、振動(ビビリ)が出やすいため、回転数を極端に落として削る必要があり、工賃が膨れ上がります。
⚠️ パターン3:過剰な「表面粗さ指示(仕上げマーク)」
「全面ミガキ仕上げ(鏡面仕上げ)」や、全体に厳しい表面粗さ(RaやRz)が指定されている図面も現場を悩ませます。
他の部品と接しない空きスペースや裏面にまでツルツルの仕上げを求められると、切削後の手磨き工程や研磨工程が追加され、加工費の半分以上が「見た目を整えるためだけの時間」に消えていきます。
💡 調達担当者が「図面の翻訳者」になる
加工屋さんも、意図があって厳しい指示になっているのか、単なる設計者の入力ミス(テンプレートのまま)なのか判断がつきません。だからこそ、一番安全な「高い見積もり」を出さざるを得ないのです。
調達担当者様が「この精度、本当に全箇所に必要なのかな?」と一言疑問を持ち、
加工屋さんの本音を聞き出すだけで、コストを半分以下に抑えられる可能性が生まれます。
📊 次回予告:設計と現場の間を取り持つ!調達ができる「図面の翻訳」
次回(第55回)は、「設計者に嫌がられずに『ここ緩められませんか?』と提案する、
調達担当者のためのVA/VEコミュニケーション技術」について解説します!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!また次回お会いしましょう!
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