【第31回】加工屋さんが喜ぶ(=安く・早く上がる)図面注記と指示の出し方
2026/08/01
こんにちは、SOUKEIの竹澤です。
前回は、「念のための厳しすぎる公差」が加工屋さんの手間を増やし、
自らコストを吊り上げてしまうというお話をしました。
今回はその続きとして、「図面への一言(注記)や指示の出し方を少し工夫するだけで、
なぜ見積もりが安くなり、納期が早くなるのか?」というテーマをお届けします。
図面は加工屋さんへの「設計図」であると同時に、現場との「コミュニケーションツール」です。
加工現場が「助かる!」と感じる図面注記のポイントを3つご紹介します。
1. 内角の「すみ部(角R)と逃げ」の許容を書いておく
フライス加工やマシニング加工において、削り落とした内側の角(すみ部)は、
回転する刃物(エンドミル)の構造上、必ず刃物の半径分だけ「R(丸み)」が残ります。
もし図面が直角(ピン角)のままで何の指示もないと、加工屋さんは悩むことになります。
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〇「ピン角指定ということは、細い刃物で時間をかけて削るか、
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ワイヤー放電加工を追加しなきゃいけないのかな……?」
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〇「コストも納期もかかってしまうな……」
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ここで図面の注記に「内角R3以下可」や「すみ部逃げ加工可(エンドミルの逃げ加工OK)」と
一言書いてあるだけで、加工屋さんは太めの標準刃物でガーッと高速に削ることができます。
加工時間が一気に短縮されるため、当然見積もり金額も安くなります。
2. 「バリ取り・面取り」の曖昧さをなくす
図面の注記でよく見かけるのが「指示なき角部はバリなきこと」というフレーズです。
もちろんバリ(加工時の金属のめくれ)を残してほしいお客様はいませんが、加工現場からすると
「どの程度の面取りをすれば正解なのか」の判断に迷います。
手作業で丁寧に一品ずつ大きく面取り(C面)をするとなると、その分だけ工賃が上がります。
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「指示なき角部は糸面取り(C0.2〜C0.5程度)」
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「バリなきこと(手で触って引っかからない程度)」
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このように具体的に書き添えておくだけで、現場は過剰な手仕上げをしなくて済み、
手戻りや確認の手間もゼロになります。
3. 用途や「重要面」のニュアンスをチラッと伝える
加工屋さんが一番怖がるのは、「どこが大事な面で、どこがどうでもいい面なのか分からない図面」です。
全部の面をぴかぴかに仕上げようとすれば、加工時間も慎重さも跳ね上がります。
例えば、
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「※外観重視面(傷厳禁)」
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「※カバー用フレームのため、外形寸法はゆるめで可」
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「※下面(A面)が基準面」
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といった手書きのメモや注記が一つあるだけで、加工屋さんは「ここを1番丁寧にやって、
外形はスピード重視で進めよう」とメリハリをつけた作業計画が立てられます。
現場の「迷い」を消してあげることが、そのままコストダウンと納期短縮に直結するのです。
💡 まとめ:図面は現場への「思いやり」で安くなる
「安く作ってほしい」と価格交渉をするよりも、
加工屋さんが加工しやすい指示を図面に添えてあげることのほうが、
遥かに確実でスマートなコストダウンになります。
図面を描くとき、あるいは発注するときに「現場はこの指示で迷わないかな?」と
少しだけ想像してみてください。
📊 次回予告:加工屋さんは図面の「ここ」を見て価格を決めている
過剰公差の削減、そして親切な注記の工夫とお伝えしてきました。
次回(第32回)は【図面と見積もりのリアル解体編】の最終回として、「見積もり裏話:加工屋さんは図面の
『ここ』をパッと見て価格を弾き出している」という、見積もり算出の裏側を泥臭く解体します!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!また次回お会いしましょう!
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