【第30回】「とりあえず厳しい公差」がコストを跳ね上げる。加工現場が見ている図面のリアル
2026/07/28
こんにちは、SOUKEIの竹澤です。
これまで国内外の調達の現実や、品質・納期にまつわる泥臭い話をお伝えしてきました。
今回からは新シリーズとして、調達担当者様が日々扱っている「図面と見積もり」の
リアルについて解体していきたいと思います。
突然ですが、調達担当者様や設計者様に一つ質問です。 図面を描くとき、
あるいは手配するときに、「念のため」「トラブルが怖いから」と、
必要以上に厳しい公差を入れてしまっていませんか?
実は、この「念のため」の一言や公差の指定が、見積もり金額を跳ね上げ、
納期を遅らせる最大の原因になっていることがよくあります。
今回は、加工現場の目線から見た「公差とコスト」の冷酷な関係について本音でお話しします。
📉 「とりあえず±0.01mm」が引き起こすコストの爆増
加工の現場に届く図面を見ていると、嵌め合わせ(はめあい)関係なさそうなプレートの外形寸法や、
ただの逃げ穴の位置にまで「±0.01mm」や「全指示公差±0.05mm」といった
厳しい公差が書かれていることがあります。
設計者様や調達担当者様からすれば、「綺麗に作ってほしい」「念のため厳しくしておこう」
という意図かもしれません。
ですが、加工現場にとって「公差を1桁厳しくする」ということは、
作業の難易度が何倍にも跳ね上がることを意味します。
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加工速度(削るスピード)を大幅に落とさなければならない
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刃物の摩耗を常に監視し、頻繁に測定する必要が出てくる
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温度変化による寸法のズレ(熱膨張)を考慮し、エアコンの効いた部屋で慎重に測定しなければならない
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不適合(不良品)が出る確率(歩留まりリスク)が高まる
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加工屋さんが見積もりを出すとき、
こうした「加工にかかる時間」と「失敗するリスク(リスクプレミアム)」
を必然的に価格に乗せることになります。
つまり、必要のない厳しすぎる公差は、「加工屋さんの手間を増やし、
製品の価格を自ら釣り上げている」のと同じになってしまうのです。
💡 本当に必要なところだけに「メリハリ」をつける
もちろん、ベアリングの圧入部や、位置決めピンの穴など、
0.01mm単位の精度が絶対に必要な箇所は当然あります。そこを緩めてほしいと言いたいわけではありません。
大切なのは、「精度が必要な箇所」と「そうでない箇所(一般公差で十分な箇所)」に
しっかりとメリハリをつけることです。
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機能上、本当に精度が必要なポイントはどこか?
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ただのカバーやフレームの外形なら、±0.1〜0.2mmやJISの一般公差で問題ないのではないか?
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ここを一度立ち止まって整理していただくだけで、見積もり金額が2割〜3割下がったり、
納期が数日短縮されたりすることは日常茶飯事です。
「国内で作るか、海外で作るか」を検討する前に、「図面の公差が過剰になっていないか」を
見直すことこそが、一番手軽で確実に効果が出るコストダウンの第1歩になります。
📊 次回予告:加工屋さんが「助かる!」と思う図面の書き方
過剰な公差をなくすだけでコストが下がる話をお伝えしましたが、
実は図面の「注記」や「指示の出し方」を工夫するだけでも、現場の作業効率は劇的に変わります。
次回(第31回)は、「加工屋さんが喜んで安く・早く仕上げたくなる図面注記と指示の出し方」に
ついて具体的に解説します!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!また次回お会いしましょう!
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